国民皆歯科検診
6月上旬に政府がまとめる「骨太の方針」に、「国民皆歯科検診」を目指す方針が明記されることになったそうです。
→ 産経ニュース記事 ←
「骨太の方針」とは、自民党で毎年発表される、経済財政運営の指針です。正式名称は「経済財政運営と改革の基本方針」です。医療の問題を、経済の分野での指針に盛り込む当たり、個人的にはよく分かりません。医療は国民の健康維持のために取り組むものであって、経済的波及は二の次だと思うのですが。ここで目指しているのは、要するに、医療費がかかりすぎているから、国民を健康にすることによって、それを抑えようということです。わからなくもないですが、健康を一番に考えてほしいですね。
「国民皆歯科検診」というネーミングからは、「国民皆保険制度」という言葉を思い起こします。「国民皆保険制度」は、日本国民が、何らかの医療保険に加入する義務と権利を保有することですが、歯科医療も、同じくらいメジャーになりたいということでしょうか。
8020運動
→ 8020運動とは? ←
歯科医療で思い出すのは、8020運動です。平成元年より、厚生省(現厚生労働省)と日本歯科医師会が提唱する「80歳になっても20本以上、自分の歯を残そう」という運動です。歯周病などで自分の歯が無くなると、入れ歯を入れることになりますが、食べ物をかむ力が弱くなりますし、歯にも神経が通っていますので、食べ物の味が変わります。お年寄りの中には、入れ歯も入れずに数本の歯が残っているだけの状態の方もいますが、しっかりかめないと、食べ物を丸呑みして胃に負担をかけたり、硬いものを食べることが出来なくて、食事に制限がされたり、健康にも影響が出ます。十分食事が出来ないと、栄養が取れず、スタミナがないため活動量が落ち、筋肉も落ちてふらつきや転倒、ひいては寝たきりへと進みがちです。
歯周病が全身に与える影響
今回の「国民皆歯科検診」の提唱では、歯周病の健診を主としている様子です。年に1度健康診断を受ける人は多いと思いますが、その際に唾液を提出して、歯周病の有無を判定する案などが出ています。
→ 歯周病が全身に及ぼす影響 ←
歯周病は、食べ物の残りかすに繁殖した口内細菌が、歯ぐきから体の中へ侵入しようとして、それを抑えようと体が戦うときに起こります。炎症が起き、歯ぐきが赤くなり、ぶよぶよになります。そういった口の中の症状だけでなく、細菌が出す毒物が血管を通して全身に回り、全身的な影響を与えることがわかってきました。
最近では、歯周病は糖尿病の合併症のひとつと言われていて、逆に、歯周病ケアをしっかりすることで、糖尿病が良くなることもわかったそうです。この「国民皆歯科検診」のニュースをきっかけに、ご自身の口腔ケアを見直すのは、いいことだと思います。

にほんブログ村
コメント