将来的に、健康保険証が、原則廃止との話が出ています。
厚生労働省は、25日、社会保障審議会の部会で、マイナンバーカードと健康保険証を紐づけた、「マイナ保険証」に一本化する方向性を確認しました。令和5年4月からは、全国の医療機関に、マイナ保険証が使えるように、機器整備を義務化。将来的には、健康保険証の発行を廃止するそうです。
現状は?
マイナンバーカード自身の普及率は、今年の5月1日時点で44%です。まだ半数以上の人が、マイナンバーカードを申請していません。当初から個人情報の漏洩の心配がささやかれていましたし、根強い反感もあるでしょう。個人情報を登録したら、税務署に資産状況が筒抜けなんじゃないかとか、色々言われましたね。
ところで、健康な人はいいとして、認知症のある方や寝たきりの方は、マイナンバーカードを申請できるのでしょうか?未成年者の場合は、親が代理申請できます。それは、法律上の代行行為ができる親権があるからです。では、成人した障碍者や認知症のある方などは、どうでしょう?成年後見人制度を利用している方は、代理申請ができるはずですが、制度を利用していない、家族もいない、施設にも入っていない方の場合は、どうなるのでしょうか。
現時点で明確な回答はないようです。こういった方がわざわざ成年後見人をつけて、マイナンバーカードを申請しているケースはそう多くないと思いますので、この問題を解決しないかぎりは、100%の普及率を目指すのには無理があります。
それを放置したまま、健康保険証を原則廃止!とは、いささか急すぎる展開ではないでしょうか。
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また現時点で、医療機関がすべてマイナ保険証を受け付けているわけではありません。5月15日時点で、19%程度の医療機関に限られるとのことなので、自身のかかっている身近な医療機関や薬局がすべて対応することを「義務付ける」のは、強引な気がします。
医療機関側も、機器導入へのハードルが高いため、導入していないケースももちろんありますが、中には「安全性が確かめられるまで対応しない」と張り紙のあるところもあり、まだまだ問題点があるとの認識が医療機関にはあるのではないでしょうか。そのような心配を払しょくできない限り、積極的な対応は求められないと思います。
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同時に、マイナ保険証を使って診察を受けると、通常の健康保険証に比べて医療費が高くなる問題がありました。初診・再診時に数十円変わるだけですが、それでも患者側の心情的には不満があります。
これは、見直す方向で考えられているようですので、それが実現すれば、問題は解決するものと思われます。
まとめ
マイナンバーカードに健康保険証を紐づけることで、7500円分のキャッシュレスポイントが配られますから、これを目当てに紐づけ自身はある程度進むことが予想されます。なんせ、お得ですから。
しかし、厚生労働省のこの方針を、日本医師会は「唐突で困惑している」として、機器の義務化については反対を表明。医療機関でも、大阪府保険医療協会のアンケートでも、設置済みが15%、導入しない施設が38%(大阪府内)との結果が出ており、義務化は現在の状況では、難しいと判断せざるを得ません。
医療施設が対応しないことには、マイナ保険証を使おうにも使えませんから、まず、医療機関への説明や意識づけが先ではないでしょうか?メリットを医療報酬につけましたが、それを結局患者負担にしたのでは、患者側がマイナ保険証を使う気がしなくなります。
医療施設への十分な説明と不安の払しょく、それに見合う個人情報の保護、そして、認知症患者や障碍者などの生活弱者への丁寧な支援が、まず必要であると思います。

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