小林製薬の紅麹サプリで5人の死者が出た問題は、世間に衝撃を与えました。
小林製薬という大手企業の安心感。
紅麹という、歴史ある自然食品への信頼。
私たちが何となく感じていた【体に良いもの】の価値観を根底から覆す事件でした。
小林製薬はすでに該当の紅麹サプリを自主回収し、健康を害した顧客にたいして補償を申し出ています。
ところが、そんな危ない紅麹サプリが、メルカリで高額転売されているというから驚きです。
小林製薬【紅麹サプリ】事件
ここで簡単に今回の【紅麹サプリ】事件についておさらいを。
小林製薬の紅麹を使用した人気サプリ「紅麹コレステヘルプ」は、悪玉コレステロールを減らす効果が期待できるサプリメントです。
紅麹の中にロバスタチンという、体内でコレステロールが作られるのを阻害する成分があるのですが、この作用を期待して、紅麹系のサプリメントが開発されています。
医薬品に含まれるほどの量はないので、お薬ほど効果があるものではないのですが、サプリメントを大量に摂取すれば、それなりの副作用はありますので、注意が必要です。
今回、紅麹サプリで健康被害があったのは、腎臓の疾患ですが、このロバスタチンの副作用ではないとされています。
それでは一体、原因は何でしょうか。
天然の紅麹は歴史のある食品ですが、フランスでは2014年頃、紅麹の作り出すカビ毒、シトリニンによる健康被害が報告されました。
シトリニンも腎臓疾患を引き起こす、カビ毒です。
このため、EUでは、紅麹サプリに含まれるシトリニンの濃度を厳しくチェックし、スイスに至っては、紅麹を含む食品の売買を禁止しています。
こんな経緯もあって、小林製薬の紅麹サプリの健康被害についても、一番に疑われたのは、シトリニンでした。
しかし、小林製薬側は、すぐに「シトリニンは含まれていなかった」と発表しました。
紅麹のすべてにシトリニンが含まれるわけではなく、今回のサプリに使用された紅麹には、シトリニンをつくる遺伝子がありません。
そのため、今回のサプリには、シトリニンが含まれる可能性は低いのです。
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次に発表があったのが、プベルル酸でした。
プベルル酸も青かびが作る物質です。
抗マラリア作用があり、マラリアの治療にも使えるのではと研究されていた化学物質ですが、毒性が強いため、薬へと開発はされませんでした。
もし、プベルル酸をつくる青かびが、紅麹を培養する段階で混入して、一緒に培養されていたとしたら、多量のプベルル酸が含まれていた可能性はあります。
しかし、プベルル酸はまだ詳しいメカニズムがわかっていないので、今の段階で、原因物質だと断定はできません。
本当にプペルル酸が腎臓に毒性を持っているのか。
きちんと調べようとすると、マウス実験をしなければ確定できず、少なくとも数か月はかかるそう。
また、毒性が強いとされたのも、マウス実験のみの結果で、人に対してどうなのかは、まだ未知の領域です。
小林製薬の使っていた紅麹がプペルル酸を作る可能性は低いので、青かびが混入していたと考えるのが自然でしょう。
プベルル酸が検出されてはっきりしたことは、小林製薬での紅麹培養過程で、青かびが混入していた可能性が高いということだけです。
小林製薬の【製薬会社】としての姿勢
小林製薬は、【製薬会社】と名乗っていますが、処方箋薬は製造していません。
ドラッグストアやスーパーで購入できる、一般医薬品や衛生用品が主戦力です。
社内に製薬会社には必須のはずの、薬理知識を持ち合わせた専門家も少なく、治験のデーターを捏造したとの話もあります。
また、小林製薬の工場は、適正製造規範(GMP)という、医薬品や健康補助食品を製造する管理基準を備えていませんでした。
報道では、問題の紅麹サプリが製造された大阪工場も、老朽化が進んでいたようですので、管理がずさんだった可能性はあります。
製薬会社が製造するサプリに青かびが混入するなんて、あってはならない失態ですが、ここまで聞くと、あったかもしれませんね。
また、小林製薬では、紅麹以外にも、納豆菌なども扱っていますが、自社で培養していたのは紅麹だけで、他の材料は外注先から購入していたそうです。
ここまで問題が大きくなると、小林製薬の製造した他の商品にも目が行きますが、紅麹以外の材料は気にする必要はありません。
メルカリでの【紅麹サプリ】高額転売
小林製薬は、この【紅麹サプリ】事件によって、自主回収の費用はかかるわ、健康被害への賠償はあるわで非常事態です。
今年度の入社式は中止、さらには来年度の新入社員の採用も見合わせ、株価は暴落。
マスコミでも毎日報道され、大変、厳しい状態に陥っています。
さらに、マスコミを騒がせるもっと以前に、小林製薬のコレステヘルプを摂取した3人の女性が、同じような腎臓疾患を患い、診察した主治医が、サプリによる薬害を疑いました。
ところが、医師が小林製薬に問い合わせても、小林製薬側は、真摯に向き合わず、健康被害の報告はない、と一蹴してしまいます。
これが明るみに出ると、対応が遅い!とブーイングの嵐となりました。
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そんな中、不気味に盛り上がっているのが、メルカリでの【紅麹サプリ】高額転売です。
メルカリは、不用品を売り買いする身近なフリマアプリのはずなのですが、時々、とんでもないものが出品されることでも有名です。
記憶に新しいのが、マスク転売。
コロナ禍の最初、マスクが一気に市場から消えてしまいました。
1箱何百円のマスクが、2万円で転売されていた例もあります。
メルカリがマスクを転売できないように規制すると、今度は「ホチキスの針」という隠語を使い、闇ルートでの転売が横行しました。
今回は、小林製薬が自主回収を進めている、危険なはずの【紅麹サプリ】で、同じようなことが起きているのです。
4月現在は、すでにメルカリ側が規制をかけ、小林製薬製のコレステヘルプと検索しても、出て来なくなりました。
しかし、現在でも、マスクの時のように、隠語を駆使して、闇ルートで取引しているのかもしれません。
それにしても、こんな危ないサプリを欲しがる人には、どんなニーズがあるのでしょうか?
いくつか考えてみました。
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1)安く購入して、小林製薬に定価で買い取ってもらう
これは、メルカリで安く購入できた場合には、可能ですね。
しかし、高額転売されているのが実情ですので、これが購買理由ではないでしょう。
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2)病院へ行き、小林製薬に賠償を求めるクレーマー
これは一部、あるかもしれません。
危ないサプリをわざわざ手に入れておいて、自分で気が付かずに購入したように見せかけて、小林製薬にクレームを入れたい人。
中にはいるかもしれませんね。
しかし、もっとえげつないニーズがあるんです。
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3)合法毒物として手に入れたい
これが一番怖いですが、今、騒がれているニーズです。
旦那デスノートという掲示板サイトをご存じでしょうか。
紅麹、もっと早く知ってれば良かった〜
製薬会社の皆さん、エロジジィが喜んで書いたくなるような健康サプリにどんどん毒を混ぜてください❤️
夫の調子が悪そうになるたび、私の顔から笑みがこぼれてしまいます。
あ、義母も一緒に逝ってほしいので、高齢者向けの美容サプリにも毒を混ぜて下さいね。
<原文ママ>
テレビで紅麹のことやってるけど、飲ませるだけで腎臓が悪くなる可能性があるって知ってたら高いけど買ってのませたのに、、、
健康になるようなものはできる限り与えたくないから、健康食品なんてノータッチだったのに、、、
テレビで出たらもう商品はお店から無くなってて手に入らないし、、
なんで死んで欲しいと思っていろいろやってるのにうちの糞はまだ元気でいるんだろう、、
腎臓でも肝臓でもどこでもいいからとっとと悪化しろ!!1日でも早く死んで欲しいのに、、
怖いですね!
旦那デスノートは、旦那さんに早く死んでほしいと願う妻たちの集う掲示板です。
単に愚痴って毒を吐くだけならいいのですが、具体的すぎる手法が書かれてあったりします。
今朝の味噌汁、つい不凍液入れ過ぎて甘いと言われた。ドキッとしたが、白味噌に変えたから〜とか言ってごまかした。危ない危ない。もうすぐ300ml入りのがなくなるんだけど、体調が悪くなってる様子もない。エチレングリコール50%だからかな?このまま続けて意味あるのだろうか…不安になってきた。とりあえずあと1本残ってるのでそれがなくなるまでやってみます。
不凍液1.2L突破中ですが、アセトアミノフェンも導入しました。新たにカフェインも導入しようと思います。こちらでアセトアミノフェンやカフェインの情報書いてくださった方、ありがとうございます。死神さん直伝の不凍液も勉強になりました。不凍液で腎臓、アセトアミノフェンで肝臓、ぶっ壊しにかかります。
不凍液やファブリーズ、ニコチン、アセトアミノフェン(カロナール)などを、飲食物に混ぜて、内臓を悪くさせようとする手口が流行っているようです。
最近、これらの毒物の仲間入りをしたのが、小林製薬のコレステヘルプなどの【紅麹サプリ】なのです。
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中には、コレステヘルプではなく、紅麹そのものに毒性があるような誤解も見受けられました。
紅鮭などには紅麹で色付けされたものがありますから、それを積極的に食べさせろ・・・みたいな。
今回の【紅麹サプリ】問題は、紅麹そのものの毒性は、問題ではないのですけどね。
混同されている感があります。
余談ですが紅麹は、色々なところの焼き鮭の添加物に入ってます。原材料一覧を🏪で見てみてください。
今回の【紅麹サプリ】事件で、腎臓疾患の健康被害を起こしたのは、あくまで小林製薬が大阪工場で製造した、一部のコレステヘルプなどの紅麹サプリメントです。
それ以外の会社が製造している、他の紅麹には毒性はありません。
ところで紅麹って危ないの?
最後に、今回の小林製薬の【紅麹サプリ】事件のせいで、世の中の紅麹すべてが形見の狭い思いをしていることに触れたいと思います。
日本人は、食の安全には手厳しいほうかもしれません。
例えば欧米では、ミネラルウォーターに少しくらいカビや浮遊物が混入していても、騒がれることはありません。
『自然のものなんだから、当たり前だろう』
くらいの認識です。
科学的に危険だとか、発がん性があるなどの根拠のあるものに対しては、逆に欧米の方が、規制が早い傾向があります。
日本は縦割りのお役所仕事のせいで、なんでも決まるのが遅いんだとか。
今回の小林製薬の【紅麹サプリ】事件にしても、原料の紅麹に含まれている、何らかの化学物質(現段階では、プベルル酸が一番の候補ですが、まだ断定できません)が、腎臓に対して毒性を持っていた、ということです。
その毒性を持つ化学物質が含まれていない紅麹には、何の問題もありません。
ここは混同しないで欲しいですね。
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フランスで天然の紅麹から、シトリニンという毒性物質が検出されたという話は最初の方にしました。
このことからも、全く危険性がない、と言い切ることはできないのですが、小林製薬と取引のない紅麹を扱う会社にも、問い合わせが殺到しているということで、加熱しすぎていると感じます。
今回の【紅麹サプリ】事件は、あくまでも小林製薬が原料の紅麹を培養する段階で、何らかの問題があったものです。
何でもかんでも恐れて騒ぎ立てず、落ち着いて危険なものだけを避けてください。
賢明な読者様は、紅麹をひとくくりに悪者と断じたり、メルカリで危険なサプリを買うような冒険をなさいませんよう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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