後発医薬品(ジェネリック)とは
今日は後発医薬品(ジェネリック)についての話です。
私は以前、頭痛外来へ通っていました。緊張性頭痛と偏頭痛の両方があったのです。たいていはストレスや姿勢の悪さからくる緊張性頭痛が多かったのですが、ドグマチールというお薬を処方されていました。
ドグマチールは面白い薬で、容量によって効き方違います。少量なら胃薬、中容量なら抗不安薬(ウツなど)、高容量なら抗精神病薬(統合失調症など)と使い分けます。
私は胃薬と抗不安薬の役割で処方されました。当時ストレスで食事ものどを通らなかったのです。
・・・・・ ・・・・・ ・・・・・
その時期を過ぎて、今度も会社の仕事のストレスで、自律神経失調症とパニック障害と診断され、またドグマチールが処方されました。
ところが今度の主治医がくれた処方箋を見ると「スルピリド」と書いてあるのです。
違う薬かにゃ?
一般名処方と言います。
”ドグマチール”と同じ主成分のお薬なら何でもいいですよという意味です。
お医者さまには先発医薬品(ドグマチール)を好む人と、後発医薬品(スルピリド:数種類の会社から同じような薬が販売されている)を好む人がいます。
今の主治医は、まず後発医薬品を処方するんですね。
ふーん、そうなんだーとこの時は特に何も思わず、スルピリドをもらいました。
お薬の効き方が違う??
ところがですね、このスルピリドを飲んだところ、得も言われぬ不快感があるのです。以前のドグマチールの方が明らかに私の体に合っていた。
後発医薬品とはいうものの、薬局での説明は「同じ成分の薬」のはずでした。何故、こんなに効き方が違うのでしょうか?
お薬が合いません
主成分を固めている成分が違うからですね
なんと!同じ主成分を使っているにしても、他の微量の成分がそれぞれの会社によって違うのだそうです。
ほとんどの場合はなにごともなく、先発医薬品と同じように効くのですが、時には私のように反応が違うことがあるのです。
結局、先発医薬品のドグマチールに変えてもらい、現在に至っています。
原因は特許にある
そもそも先発医薬品は、膨大な研究費と時間をかけて開発されています。
いくら世の中の役に立つとはいえ、やすやすとマネされては困るわけです。
そこで、特許をとって、開発された薬を経済的に守っています。
その特許が切れた時から、同じ主成分を使って、研究費と時間がかからない分、お安く薬を作ることができるようになります。これが後発医薬品です。
薬用成分の化学構造に関する特許が切れた時から、後発医薬品を作ることが出来るようになります。同じ主成分の薬を作っても良くなるからです。
特許は化学構造に関するものだけではありません。例えば”効き方”に関する製造法の特許。お薬が飲んですぐにサッと効くか、徐々にゆっくりと成分を体に行き渡せていくか、成分の体への吸収のされ方にも高度な技術が使われていて、この特許が残っている場合は製法をまねることは許されません。
形に関する特許が残っていれば、錠剤、粉薬、カプセルという状態を他の状態に変えなければなりません。
薬局の人が言っていた「固める成分が違う」というのは、主成分の特許は切れているから同じ成分を使うことが出来ても、他の高度な製法の特許が切れていないとか、他の製薬会社と差をつけるために製法を変えたなどの事情で、微量成分が先発医薬品とは違ったんですね。
その影響を受けて、私の体内での吸収の仕方が違ったか、先発医薬品にはない副作用が出たのでしょう。
厚生労働省は後発医薬品を使って欲しい
健康保険組合からは可愛い「ジェネリック医薬品」シールが送られてきました。
このシールを保険証に貼って、後発医薬品を出してもらうようにアピールしろということらしいです。
薬局に行けば、「後発医薬品にしませんか? 先発医薬品よりもお安いんですよ♪」とセールスされます。
現在、健康保険組合も医療費が莫大な額に膨れ上がって、ふところ具合が苦しいのです。
後発医薬品は先発医薬品に比べてお安いですので、それだけ助かるわけです。
厚生労働省も、医療費の高額化に頭を悩ませており、「後発医薬品を積極的に使うこと!」と各方面に圧力をかけています。
患者側にアピールするだけでなく、医療側にも後発医薬品をある程度の割合で使わないと、報酬を減らす!ということになっていますので、先生方はせっせと後発医薬品を出すようになったのです。
しかし、長い間かけて何段階もの実験を繰り返した先発医薬品と違い、後発医薬品の認定は甘いものだと言われています。
それでも日本は諸外国に比べれば厳しいので滅多に事故は起こらないようですが、それでも製薬会社によって違う微量成分などは、それほど詳細な実験は行わないと思いますよ。
やはり、先発医薬品と後発医薬品は、ちょっと違うのです。安全の担保という面では、お安いだけのことはあるのですね。
事故も起きた
小林化工「イトラコナゾール錠50『MEEK』」(睡眠導入剤の成分が混入)2020年12月
日医工 10年間国の承認を受けずに後発医薬品を製造 2021年3月
小林化工の事故は爪水虫の薬に睡眠導入剤の成分が混入していたもので、車の運転中に事故を起こした人が多発し、高齢の患者さんが2人亡くなりました。
日医工の事件では健康被害は出なかったのですが、開発を急ぐあまり、10年にわたり不正をしたとのことでした。経営のため、安全を犠牲にしたんですね。
やはり先発医薬品の膨大な時間をかけての研究、厳しい許可体制に比べたら、後発医薬品のチェックは甘いと感じます。
諸外国に比べたら厳しいと言われる日本でこうですから、チェック体制があまり厳しくない国(インドなど)で作られた後発医薬品は大丈夫かと心配になっても無理はないと思います。
AG(オーソライズド・ジェネリック)
最近、オーソライズド・ジェネリックという、新しい分野のジェネリック医薬品が登場しています。
オーソライズドというのは、許可された、という意味です。
先発医薬品のメーカーが、特許内容をジェネリック医薬品メーカーに使用を許可したり、先発医薬品メーカー自身が、先発品と並んで、まったく同じ内容のジェネリック医薬品として売り出したりします。
通常のジェネリック医薬品は、先発医薬品の特許が切れてから、効き目のある主成分だけを同じにして、その他に含まれる添加物などに違いが出ます。
オーソライズド・ジェネリック医薬品は、まったく同じ成分であることが多いです。
厳密にいうと、違うこともあるのですが、新薬とほぼ同じ成分で、新薬開発とほぼ同時期に発売されるジェネリックという点が画期的です。
添加物が違うせいで、ジェネリック医薬品が体に合わないとか、心配だという人には朗報ですね!
まとめ
後発医薬品は先発医薬品と同等のものではない。安かろう悪かろうまでは言わないけど、安心感を買うなら先発医薬品。お値打ちに薬を処方してもらいたいなら後発医薬品。
副作用が違うこともあるから、合わなければすぐに変えてもらうこと!
今回も最後まで読んでくださってありがとうございました。感謝です!(春香拝)
別サイト:どんぐり復刻館
Twitter:春香@ニュース&生活ブログ配信中
note:春香@ビジネス&メンタル
・・・・・ ・・・・・ ・・・・・
にほんブログ村
コメント