ゴミ屋敷の住人のココロの中

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くずれそうな家 B級ニュース

ゴミ屋敷に出合う

昨今、ニュースで時々耳にする”ゴミ屋敷”。

スーパーのレジ袋に詰められたゴミが渦高く積み上げられていたり、庭に古タイヤや壊れたビニール傘などが散乱している様子。

あなたも一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。

私は仕事柄、色んな方にお会いしますが、一定の割合で、この”ゴミ屋敷”に遭遇します。

さすがに虫が湧いて、中に足を踏み入れるのが躊躇されるレベルのお客様はいないのですが、中に何かがつまったレジ袋が積み上がり、足の踏み場がないレベルの方なら、何人かいらっしゃいます。

ホントにどこで寝るんだろうと不思議に思いますね。

今回はそんな”ゴミ屋敷”のお話です。

ゴミ屋敷はどれくらいある?

日本にゴミ屋敷がどれくらいあるか?

これ、検索してもなかなか出て来ないんですよ。

それもそうかもしれませんね。どこまでのレベルを”ゴミ屋敷”と呼ぶか。

単にお片付けの出来ていない、整理されていない部屋のレベルから、近所から苦情の来る危険な”ゴミ屋敷”まで、定義そのものが難しいかもしれない。

しかし、社会問題であることは疑問の余地はないでしょう。

自治会が”ゴミ屋敷問題”について検討した報告書類は何点か検索に上がりますので、問題意識が行政にあることは間違いありません。

不快な臭いに悩まされたり、うずたかく積み上げられたゴミで通行に支障があったり、ゴミの山が崩れてくる危険があったり、苦情も様々あるでしょう。

ところで、当の”ゴミ屋敷”の住人たちは、どのように考えているのでしょうか。

ゴミ屋敷の住人のココロの中

これもひとくくりにしてしまうわけにはいかないのですが、ひとつ共通して言えることは、ゴミ屋敷の住人にとって、あれはゴミではないということです。

1)役に立つ、またはいつか役に立つと思っている
2)思い出が詰まっているので、捨てることが出来ない
3)そもそも必要なのか不要なのか判別できない

大体、このどれかのようです。

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役に立つと思っているパターンは、”使い道”を延々と説明してくれます。

例えば、古タイヤは中に土を詰めれば植木鉢になるだろうとか、破れた傘は張り替えれば十分使えるなど。

しかし、実際にそのように実行して使うことは、ほぼありません。

あくまで頭の中でシミュレーションしただけのことで、将来使おうと思えば使えるのだという主張です。

おそらくその”ゴミが生まれ変わる未来”は、永遠に訪れないでしょう。

このパターンの方は節約家、悪く言うとけちんぼに多いです。

たくさん手に入れていても、もっともっとと欲張るばかりで、手放せない状況に陥っています。

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思い出が詰まって捨てられないパターンの場合は、もしかするとこれは不用品かもしれないと気づいています。

しかし、その不用品であるはずのものには、過去の思い出がくっついています。

へばりついている思い出を、その不用品から引き離すことが出来ないので、手放すことが出来ないのです。

多くは、亡くなったご家族や恋人の思い出と重なっており、形見のようになっています。

このタイプの住人は、思い出をきちんと過去のものとして整理し、ゴミと化しているモノたちを思い出から切り離すことが出来れば、整理への一歩を踏み出せます。

必要なのは心理的なアプローチでしょう。

グリーフケアなど利用して、過去の悲しみを”過去のもの”として心を整理し、思い出の過去から立ち直って、しっかり今を生きるところまで回復すれば、不用品を整理する活力がわくはずです。

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そして、そもそも必要なのか不要なのか、わからないというパターンの場合。

認知症が軽く入ってきたご年配の方に多いですが、最近は、若くてもお片付けの出来ない人が話題になりました。

昔はモノがそんなに多くはありませんでしたから、あふれるモノたちに囲まれるという体験がなかったのでしょう。

現在では、うっかりすると不用品に囲まれてしまいますから、もったいない精神が行き過ぎると、エスカレートした先に”ゴミ屋敷”問題が待っています。

捨てること、そして不必要なものを手に入れないこと、が必要になってきます。

そうです。断捨離の考え方ですね。

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断捨離のすすめ

”ゴミ屋敷”ではない現在の私たちにも、その危険性はないわけではありません。

先ほども述べましたが、現在は、モノにあふれた社会です。

うっかりすると、必要なのかどうかわからないモノたちに囲まれてしまいます。

極限までモノを減らすミニマリストまで追い詰めるかどうかはあなた自身の判断ですが、断捨離のエッセンス的なものは身に着けておいて損はありません。

私はモノにあふれた現代では、小学校あたりでこの断捨離の話は教育しておいてもいいのではないかと考えています。例えば生活学習や家庭科などで。

不必要なものは買わない、購入するときは衝動的にならずに、じっくり考える癖をつけるなど。

これは買い物依存症の予防にもなりますね。

整理整頓するときにも、そのお片付け技術の前に、必要なのかどうか判断する知恵が必要です。

これは大人になっていきなり身につくものではないと思うのです。

高校で金融教育をするといってニュースになりましたが、金融教育も断捨離教育も、もっと早く、小学校程度のころから身に着けるべきであると、私は思います。

ゴミ屋敷住人へのアプローチ

ゴミ屋敷の住人は、単に意固地になって片づけないのではなく、心理的なひっかかりがあるのです。

ご近所に危険が及び、行政執行などで強制的に壊してしまう、片づけてしまう例もあります。

一面では仕方のないことだと思います。周りの人にも心地よく暮らす権利はありますから。

しかし、もっと早期に介入することが出来れば、問題は小さくなるかもしれません。

民生委員など、身近に問題に気が付ける人がいる場合もあるでしょう。

行政の側で、ゴミ屋敷の住人達にメンタル的に関わることは考えられないでしょうか。

すでにゴミ屋敷になってしまってからでは、かなり時間はかかりますが、行政執行で片づけても、心理的な根の部分が完治していないと、いずれ同じ”ゴミ屋敷”が出来上がります。

大切なのは、住人のココロに迫ることです。

とある住人の声

これはウチのお客様の一人で、ゴミ屋敷化している団地に暮らしている年配の女性の話です。

家じゅうにレジ袋が積み上げられており、足の踏み場もありません。

足腰を悪くした彼女は、しょっちゅう家の中でつまづいてはけがをします。

この間はみそ汁をこぼして大やけどを負いました。

すべては家の中が障害物競走状態だからです。

ベッドにも不用品(あくまで彼女にとっては不用品ではありませんが)が積み上がり、せっかくベッドがあるのに、床で寝ているのです。

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ある時、雑談をするついでに、安全のためにもう少し荷物を減らした方がいいねと話をしました。

彼女は真面目な顔をして「どうやってかたづけたらいいか、わからない」と言いました。

そして「あなたはどうやってモノを片づけるの?」と聞くのです。

毎晩遅くまで起きていて、レジ袋の封を解き、中身を眺めては、どのように片づけたらよいかわからず、再びレジ袋を閉じ、また積み上げる、その繰り返しだと。

彼女にはヘルパーさんなどが家に入っていますし、単なる保険屋の私があまりお節介も出来ませんが、伴走して一緒にお片付けをしてくれる人間が必要だと感じました。

幸い、信頼している弟さんがいらっしゃるので、一緒に片づけてみてはいかがですかと話しましたが、もう1点、彼女には”ゴミ屋敷化”する根本の問題がありました。

不用品の半分は、可愛がっていた妹さんの持ち物だということです。

障害があり、不自由な生活を送っていた妹さんを、彼女は本当にかわいがっていました。

その妹が、先に逝ってしまい、まだ心の傷が癒えていないのです。

”不用品”に妹の思い出を重ね合わせ、もう着ない洋服や、靴などを眺めては、妹を思い出すと。

悲しみが十分に癒えず、思い出が完全に過去になり、モノから切り離されていないので、捨てることに痛みを伴うのです。

余裕があれば、カウンセリングなどでグリーフワークなどもいいかなと思う例です。

しかし、今の彼女は自分の生活が精いっぱいで、お片付けの気力も、そして何が必要で、何が不要か、判別もおぼつかなくなっています。

特に郵便物。ダイレクトメールの類は捨てたらいいよと助言したのですが、彼女にとっては保険会社からのお知らせも、何年たったらすてたらいいのかわからないという具合です。

紙が多すぎる!火災の危険もあるくらいです。

便利屋さんなどで、お片付けの外注は思いつくのですが、先に、彼女のココロの整理が先決かと思うのですよね。

そんな彼女を見ていると、もっと小さい時から断捨離について、つまり”モノを選別する目”を養うことについて、教育があってしかるべきだと思うのです。

まとめ

”ゴミ屋敷”問題は、モノをため込む過程で、買い物依存症のなれの果てというパターンも多いですし、最終的に孤独死につながりかねません。

早期に住人のココロのケアができることを望みます。

大家族で暮らしていたころにはあまりなかった問題かもしれませんね。

一人暮らしの世帯が増えると、軽い認知症を患って、ゴミの分別が出来なくなると、ゴミ屋敷化へ一直線につながることもあります。

ゴミ屋敷にだけスポットを当てるのではなく、総合的な支援ができるとよいと思います。

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