車中でHPVウィルスに感染
アメリカで、信じられない巨額保険請求事案がありました。車中での性行為で、女性がパートナーの男性にヒトパピローマウィルス(HPV)に感染させられたとして、パートナーの加入する自動車保険会社ガイコ(GEICO)に損害賠償を求めました。ミズーリ州の裁判所でこの訴えが認められ、520万ドル(約7億円!)の支払いが命じられました。
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ちょっと常識を疑うんですが。。。少なくとも日本ではありえませんよね。女性側の主張としては、男性は咽頭がんでヒトパピローマウィルスに感染しており、避妊具を使わない性行為で女性に感染させ、将来におよぶ肉体的、精神的苦痛と多額の治療費を負わせた、ということです。さらに男性の加入する保険会社ではこの「損害」を補償できるはずだとして、支払いを求めていました。
ガイコ側は拒否。(あたりまえだと思います)が、なんと!裁判では支払いが命じられる判決となりました。世の中、どうなっているのでしょうか。さすが訴訟王国アメリカと言いますか、なんといいますか。男性が自身ががんになる可能性のあるウィルスに感染しているのを知りながら、避妊具も使わずに性行為をしたのは、少なくとも重過失として、責められるのは男性では?
確かに、日本でも個人賠償責任保険というのが自動車保険にはたいていくっついていて、他人に迷惑をかけた場合、その損害を補償する使われ方をします。買い物していて高価な商品を壊したとか、自転車で子どもにぶつかったとか。それを女性側は突いたのだと思いますが、意表を突く主張です。しかも裁判で認められるなんて、アメリカは何でもありですか。。。
ネット上では、こんな声が。
ラブホテルでウィルスに感染したら、ホテルを訴えるようなものか?
ごもっともです。また、テスラのCEOのイーロン・マスク氏は、
クレイジーな損害賠償請求のせいで、自動車保険が高額になっている。
非常識な損賠賠償を求める法律事務所を訴えられるようにするべきだ。
と述べています。
ところでヒトパピローマウィルスって?
女性が感染させられたというヒトパピローマウィルスというのはごくありふれたウィルスで、100種類以上あります。その中の13種類がガンに関係するとされていて、日本では子宮がんワクチンの問題で一躍有名になりました。子宮頸がんの70%は、16型か18型のヒトパピローマウィルスの感染によって引き起こされるとされています。
このウィルスによる感染を防ぐワクチンが、子宮頸がんワクチンです。大きな副作用で苦しむ女性がたくさん報道され、積極的な推奨はされなくなった経緯があります。現在は、副作用よりもがんの発病を抑える効果の方が上回るとして、再び推奨が始まったようですね。
このアメリカの女性にしたら、男性に騙されてがんの可能性の高い、ヒトパピローマウィルスに感染させられた恐怖を味わったと思います。100種類もあるヒトパピローマウィルス。ほとんどはいぼの原因などになっても、軽い症状で完治します。しかし、がんを引き起こす数種類はこれとは違います。ですから、恐怖や「こんなはずではなかった!」という思いは理解できるのですが、男女間の情事の結果というところに違和感を覚えるのか、どうしても保険金請求にそぐわない案件だと感じてしまいます。みなさんは、どう思われますか?
テスラ保険
この判決に異を唱えたイーロンマスク氏ですが、テスラ社のCEOとして有名です。この方は、いろいろ発言が物議を醸しだすのですが、ここで「クレイジーな損害賠償請求によって、自動車保険が保険が高額になっている」という発言を別角度から見ることが出来ます。
日本では、テスラ車は自動車保険に非常に加入しにくいということをご存知でしょうか。テスラは日本ではそれほど流通していない車種で、国土交通省から型式指定を受けていないため、保険会社としては保険料試算に困ってしまうのです。モデル3は型式登録を受けているので試算は出来るのですが、モデルSやモデルXについては、まずネット保険などで見積もりを取ることはできません。
一方で、テスラ社はテスラ車専用のネット保険を販売しています。インシュア・マイ・テスラです。個人オーナーはSBI損保、法人で契約する場合は、東京海上日動が対応しています。テスラ車はボディがアルミで出来ているなど、「普通」の自動車に比べて修理費が高くつくそうです。個性的なつくりが魅力のテスラ車ですが、修理となると別格料金がかかるのは痛いところですね。そんな不満にこたえるため、まだカリフォルニアだけの展開の様ですが、テスラ社自身が保険ビジネスに参画するようです。
そんなわけで、安い自動車保険から締め出された形のテスラ車ですから、「非常識な損害賠償」によって、今でも高い保険料がさらに上がってしまう!と憤慨しているわけですね。ぜひ、適正な保険利用をしてもらいたいものです。
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