アニサキス(ウィキペディア)は主に青魚につく、寄生虫です。透明で10センチくらいの長さでしょうか。一度スーパーのさんまの切り身についていたのを見ましたが、とぐろを巻いてくるくるしていることが多いようです。
アニサキスは最終宿主がくじらで、このくじらが増えていることからアニサキスに遭遇する確率が増えているそうです。普段は魚の内臓に帰省していますが、魚が死に、内臓が傷んでくると筋肉中に出てきます。この筋肉(魚の身)を食べることで私たちはアニサキス症になり、お腹に激痛が走るはめになるわけです。
元AKB板野友美さん アニサキスで緊急搬送
→ 板野友美、アニサキスによる腹痛は“先週のお話”と報告「お騒がせしてすみません」(オリコンニュース)←
6月26日、元AKBの板野友美さんがユーチューブで「激痛に襲われ、緊急で病院にいくことになりました」と動画をアップし話題になりました。当初は十二指腸潰瘍と診断され、お薬も出たようです。その薬を服用しても激痛が治まらないので、翌日再び病院へ行き、胃カメラの検査でアニサキスが発見されたとのこと。
激痛で病院に緊急搬送されても、すぐにアニサキスってわからないんですね!みなさんも生のお魚を食べてお腹に激痛が走った時は、病院で生魚を食べたことを先に話した方がよさそうです!
アニサキスが見つかると、一匹一匹、手作業で引きはがします。アニサキスは胃壁にかみついて食い込んでいるので、このはがす作業がまた痛いそうですよ。
アニサキスは人間の体で生きることが出来ません。本来の宿主ではないからです。そのため、胃の中で苦しみ、どこかへ逃げようとする本能で小腸などへもぐりこむことがあります。胃壁にかみつくのはこのためです。苦しんで逃げようともがいているんですね。
激痛の主な原因はこのアニサキスのかみつきにあるのですが、アニサキスがたとえ死んでいても、アニサキスのタンパク質に反応し、アニサキスアレルギーとなることがあります。重篤な場合はアナフィラキシーショックを起こすこともありますので、魚を食べて気分が悪くなったりしたことのある人は要注意です。
しかし、アニサキスを食べた全員がこの激痛を味わうのかというと、そうでもないらしいです。生きたアニサキスが胃の中にいるのに、何ともない人もいます。これはもう運としかいいようがありませんね。胃内でのアニサキス生息期間は約1週間ですが、1か月以上生き延びた強者も報告されていますので、すぐに病院へ行きましょう。
魚を生で食べるときは、アニサキスがいないか、しっかり目で確認してください。アニサキスは家庭用の冷凍庫で丸2日冷凍したり、70度以上で加熱すると死にます。ただ、アニサキスアレルギーのある人は、死骸でも食物アレルギーを起こすので注意して下さい。最近はくじらがふえて、最初の宿主のオキアミがアニサキスの卵が入ったくじらのフンを食べることが多くなり、アニサキスに寄生されている魚の種類も増えています。ヒラメや鮭もアニサキスがいることがありますので、青魚に限らずご注意を。。。
アニサキス 電気ショックで退治
こちらはお刺身、お寿司が好きな方には朗報です!アニサキスを電気ショックで退治する機械が開発されました。ジャパンシーフーズと熊本大学の共同研究の結果です。
→ 世界初のアニサキス感電殺虫技術 ジャパンシーフーズと熊大など国支援事業で開発(みなと新聞) ←
2021年の6月の記事ですが、先日ヤフーニュースでジャパンシーフーズの社長さんの開発秘話が掲載されていました。アニサキスを駆除するには、従来の方法では過熱か冷凍しかないのですが、それでは魚の身も傷んでしまいます。瞬間的に雷のような大きな電流(パルスパワー)を流すことによってアニサキスを死滅させる新しい方法を使うと、全く味や風味を落とすことなく殺虫処理ができるとのこと。現在の技術では3キロのの味の切り身を約6分で処理できるとか。3年間で15万匹のアニサキスをつつき続け、編み出した技術です。
ただ1点注意点が。アニサキス自身はこの電気ショックで死滅するのですが、アニサキスがいた痕跡は残るので、アニサキスアレルギーの危険は残ります。生きたアニサキスに胃壁を食い破られる痛みはないですが、食物アレルギーとしての可能性はありますので、魚を食べて発疹が出たとか、かゆみが出た利した経験のある方はご注意を。
2022年3月には、ジャパンシーフーズと共同開発していた熊本大学で「パルス電流殺虫技術研究会」が発足しています。早く実用化されるといいですね。
アニサキスはがんに役立つ!?
アニサキスががん治療に役立つそうですよ!衝撃のニュースです。
アニサキスのような細いくねくねした虫は、線虫といいます。この線虫を使ってがんの早期発見ができるということはご存知でしょうか?がんの患者さんは尿の中に独特の化学物質が出るんですね。その化学物質を線虫を使って調べるんです。2018年ごろには研究開発が進んでいると盛んに報道されていましたが、現在では実用化されています。健康な人の尿よりも、がん患者さんの尿に線虫は集まるんですね。これにより、まだ症状の出ていない初期のがんを発見することが出来るんです。
痛くもないし、時間もかからないし、画期的な検査方法ですが、まだ問題点もあります。まず、擬陽性が多いということ。つまり、線虫が好む匂いが出ているだけの話ですので、別にがん細胞を発見したわけではなく、がんではない可能性もかなりあるということ。
次に、何のがんかはわからないこと。何らかのがん細胞がありそうだけど、どこの部位かはわからないのです。がんマーカーやスクリーニング検査では、ある程度どの部位のがんかを狙って調べますよね?線虫がん検査は全身のがんが対象ですから、がんがありそうだけど、ちがうかもしれないし、どこのがんかもわからない。ただ可能性が高いとしか言えません。
そして、この線虫検査でがんの可能性が高いと判定された場合、実際にがんの精密検査を受けることになりますが、これが「自費診療」となることです。普通に血液検査でマーカーが高いとかいうことになると、健康保険を使った保険診療になります。「病気」だからです。これが線虫検査は健康保険がつかえない「健康診断」のようなものになりますから、病気とまだ判断されていない「健康」な人が新倍だから調べて、というケースは健康保険が使えないのですよ!
今は、市町村でも安い値段でがん診断が受けられますから、こちらを利用すると健康保険適用になります。バリウムのむのがどうしてもいやな人は、線虫検査もありですが、デメリットをよく考えたうえで納得してお申し込みをお勧めします。
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ところで話がそれましたが、この「線虫」の仲間であるアニサキス。今回の話は、アニサキスを使ってがん診断をしようという話ではないんです。
→ 将来はアニサキスでがん治療? ←
この研究は、アニサキスにスーツを仕立てるように、表面をコーティングする技術の開発をしています。アニサキスも線虫の仲間で、やはりがんの匂いに引き付けられます。胃がんの患者さんの胃の中で、がん患部にくっついていたという話もあります。
このアニサキスになんらかの薬剤をコーティングするとか、がんを攻撃する仕込みをして、その上でがん患者さんの体の中にあえて送り込むわけです。コーティングされたアニサキスは、人間側の刺客としてがん細胞に近づき、そして静かに仕留める・・・的な未来を考えているわけです。
みなさん!アニサキス、飲むんですって!もちろんまだ開発中で、アニサキスを不要になったらサクッと削除する方法とか、飲んだ時の激痛をどうするんだとか、問題は山積みなんですが、がんの可能性を調べるだけではなく、まさか刺客にされようとはアニサキスも思わなかったでしょうね。人間が上手かアニサキスが上手か。。。
まとめ
以上、アニサキスの話題3選お届けしました。現在のところは、お刺身を食べるときはよく見ることですね。透明でぐるぐるした虫がいたら、気を付けて下さい。お互い、食中毒には気を付けましょうね!
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