大西洋で沈没した豪華客船タイタニック号。
誰しも一度は聞いたことがあるはず。
実際に沈没している船の残骸を見てみたいと思う人は多いことでしょう。
このロマンあふれる深海への冒険旅行が、安全なものではなかったとしたら?
タイタニッ号の残骸を見に行く深海への冒険ツアー
2023年6月18日、米沿岸警備隊は、タイタニック号の残骸を見るため、深海へ向かっていた旅行用の潜水艇が、行方不明になったと発表しました。
この旅行を計画したのは、アメリカのツアー会社、オーシャンゲート。
この深海旅行には、オーシャンゲートの潜水艇、タイタンが使われました。
タイタンには、5人が乗り合わせていて、4日分の非常用酸素が積み込まれているとのことですが、この記事を書いている段階で、すでに2日以上が過ぎています。
政府機関、アメリカ、カナダの海軍、深海で活動する民間企業が、総出をあげて、タイタンの行方を捜しています。
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このツアーは8日間の予定で、セントジョンズから出航。
タイタニック号が沈んでいる深海3800メートルの地点まで行くには、潜水と上昇時間を合わせて、8時間の行程とのこと。
料金は25万ドル(約3500万円)と高額です。
今回が1回目の旅行で、来年の6月にあと2回、計画されています。
潜水艇タイタンは、深海に耐えられる安全性はなかった?
世界中がタイタンの発見、そして、中に乗り込んでいる5人の生還を固唾をのんで見守る中、不穏なニュースが飛び込んできました。
時は2018年。タイタンをテストするために雇われた潜水艦操縦士、デビット・ロックリッジ氏は、タイタンの安全システムは、事故が起こる数ミリ秒前にしか、故障を検出できない点を指摘していました。
オーシャンゲートは、タイタンの安全性を確保するためとして、音響監視システムを導入していたそうです。
ロックリッジ氏によると、この音響監視システムでは、部品が故障する数ミリ秒前にしか検知できないとのこと。
このため、タイタンが深海での安全な旅行をするためには、非破壊検査をしなければならないと主張しました。
しかし、ロックリッジ氏が検査報告書を提出した後、オーシャンゲートは彼を解雇し、すぐに机を片づけて出ていけと10分だけ猶予を与えたとのことです。
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オーシャンゲートは、ロックリッジ氏を秘密保持契約違反で解雇し、それに反訴した彼の裁判記録から、今回の件が明るみに出ました。
二人はすでに和解していますが、ロックリッジ氏の提言を聞き入れて、タイタンに必要な検査がされたかどうかはわかりません。
もしかすると、必要な検査をされず、安全性を確保されていなかったために、今回の事故が起こった可能性もあるのです。
まとめ
この話を聞いて思い出したのが、北海道での知床遊覧船沈没事故です。
その時の観光船、カズワンも、安全性に問題がありました。
たしかに悪天候の影響は大きかったのですが、もともとカズワンは内海を航行するのに適した船で、知床のような、波の荒い外海を航海するには適さない船でした。
それに加え、ハッチが十分に閉まっていなかったとか、事前検査が十分でなかったとか、連絡手段を確保していなかったなどの問題点が、次々に明らかになりました。
どちらの事故も、安全性の軽視から来ているのではないでしょうか。
オーシャンゲート社の安全管理は、これから明らかになっていくと思いますが、まずは、タイタンに乗り組んでいる5人の生還を祈ります。
タイタニックがこれ以上、悲劇の豪華客船とならないように。
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