ロシアのマクドナルド後継店「フクースナ・イ・トーチカ(おいしい ただそれだけ)」
マクドナルドの後継店「フクースナ・イ・トーチカ(おいしい ただそれだけ)」のハンバーガーにカビが生えていたと話題になっています。ロシアのSNSにハンバーガーのバンズに緑色のカビが生えている写真が公開されました。
→ 「パンにカビ」で残念なあだ名も ロシアのマック後継チェーンで騒動(朝日新聞デジタル)←
フクースナ・イ・トーチカは、ロシアで展開していたマクドナルドがロシアのウクライナ侵略を受けて撤退するのに伴い、後継店として6月12日に営業を開始しました。翌13日にはモスクワ周辺に50店舗が営業しています。
店舗のロゴもマクドナルドのMを思い起こさせるもので、店舗だけではなく従業員やメニューに至るまで流用している模倣店です。後継店と呼ばれていますが、残されたマニュアルを完全に習得されていないのか、以前から衛生管理には問題が指摘されていました。
運営会社はロシアメディアに「品質と安全性は当社の最優先項目であり、保管や調理は手続きに従っている。(バンズの)メーカーにも事情を聴いている」と答えていますが、SNSでは店舗裏にうずたかく積み上げられたバンズをカラスがつつく様や、ハンバーガーの肉の部分から虫の足が出ている写真などが掲載されました。品質には問題があると言わざるを得ません。
またウラジオストークでファーストフード店「イエダ・イ・トーチカ(食事 ただそれだけ)」の経営者から、店名をコピーしたとして訴えられています。現在、旧マクドナルドが残した850店舗の内、約140店舗が「フクースナ・イ・トーチカ」として再開されたとされていますが、前途多難なようです。
マクドナルドに熱狂したソ連時代
マクドナルドのロシア第1号店開業は、冷戦時代終結の象徴でした。1990年1月31日、ビッグマックを買うために何千人ものロシア人が寒空の下、何時間も並びました。オープン初日で3万人以上の来店者があったと記録されています。
ソ連のマクドナルドで働くことができるのは超一流の若者だけだとされ、名門大学に通い、外国語を話すことが出来、接客マナーに優れた学生だけが選ばれたと言います。彼らはカナダで1000時間にも及ぶ研修を受けました。従来式のソ連型サービス(社会主義的な)とは一線を画していたことがわかります。
それだけに、当時のマクドナルド(資本主義的な接客サービス)に心奪われた人は多かったでしょう。特にソ連型の粗野で失礼な接客になれていた客たちは、太陽のようなマクドナルド式「スマイル0円」にすっかりやられてしまったようです。
マクドナルドは、あこがれの西洋文化に触れられる唯一の場所でした。店で提供される使い捨て容器がお土産になったくらいです。2号店のオープニングセレモニーには、当時のエリツィン大統領も並んでいました。
まとめ
今でもロシア人はマクドナルドが大好きです。庶民にしたらウクライナ侵略戦争で便利な西側のお店がなくなるのは悲しいに違いありません。だから、模倣店の「フクースナ・イ・トーチカ」が繁盛しているのです。
庶民が政治に翻弄されるのはいつの時代も変わりませんが、マクドナルドの夢を見せてくれる「フクースナ・イ・トーチカ」のレベルがもう少し上がることを期待してやみません。できれば、もう一度平和ロシアでマクドナルドに舌鼓を打つ日が来るといいですね。
にほんブログ村
コメント