超RIZINでの花束投げ捨て事件
9月25日。さいたまスーパーアリーナで総合格闘技イベント「超RIZIN」が開催されました。
元5階級制覇王者フロイド・メイウェザーに総合格闘家の朝倉未来が挑戦するビッグイベントです。
試合前にメイウェザー選手に歓迎の花束を贈呈する権利を得たのが、ごぼうの党の代表者、奥野卓志氏でした。
和服姿にサングラスの奥野氏はぶぜんとした表情でリング中央に近づき、花束をメイウェザー選手に渡す直前にマットの上に投げ捨てました。
一瞬の出来事に観客もあっけにとられる中、さっさとリングを後にする奥野氏。
メイウェザー選手は戸惑ったように奥野氏の方をちらりと見ましたが、足元に打ち捨てられている花束をグローブをはめたままの手でそっと拾い、セコンドに渡しました。
奥野氏の無礼な態度に声を荒げることもなく、全く紳士的な振る舞いに、世界中から称賛が寄せられます。
同時に、奥野氏にはかなりのバッシングが。
奥野氏は420万円も払って、この花束贈呈の権利を勝ち取っています。
わざわざメイウェザー選手を侮辱するために420万円も支払って、この権利を手にしたのでしょうか。
一体、何があったというのでしょうか。
奥野氏が花束を投げ捨てたワケ
奥野氏はこの「花束投げ捨て事件」について、東スポの取材に答えています。
今日、思いついたワケではなく、話は2018年の大みそかにあった那須川天心とメイウェザーの試合にさかのぼる。メイウェザーは試合1時間前にバンテージを巻き直せとか銀座で買い物したり、体重計に乗らなかったり、すごいなめたことした。5キロ以上も体重差があっての試合は危険を伴う。ルールは譲歩してはいけないのに、主催者は「メイウェザー様、様」で何も言えない。試合後もプライベートジェットで朝5時に帰る前に僕の店の「一徳」(会員制サロン)に来たいと言ってきたが、断った。
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13年にピーター・アーツの引退試合にメイウェザーが見に来ていて、関係者と知り合った。今回も何度も「一徳」に行きたいと連絡があって「メイウェザーと写真を撮れば1枚100万円でもうかる」というが断った。花束贈呈を僕がやると分かったら、「記者会見を開いて、ごぼうの党の宣伝をしてやるから1000万円払え」とか金の話ばかり。そんなのがスポーツ選手とかアスリートと言える? そういう売り方をしているかもしれないが、対戦相手へのリスペクトがない。ずっとメイウェザーには良い印象がなく、5億とか10億払って、将来ある日本の選手がダシに使われているような気がしていて、疑問を感じていた。
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非礼には非礼、無礼には無礼でやっただけ。
東スポweb
つまりメイウェザー選手の無礼な態度に以前から立腹していたということのようです。
金の話ばかりのメイウェザー選手にうんざりしただけでなく、日本の未来ある若い選手が彼の金儲けのダシに使われているような気がしていたと。
だからと言って、リング上での儀式ともいえる花束贈呈を台無しにしていいわけではありませんけどね。
無礼には無礼で返す限り、同類でしかありませんから。
ただ、奥野氏は今回の「花束投げ捨て事件」が炎上することも計算に入れていた様子です。
炎上するなというのは、やる前から分かっていた。それでもごぼうの党を知ってくれたらいいなという気持ちでやっている。僕はこの国をなんとか守りたい気持ちでやっているだけ。
東スポweb
炎上することはやる前からわかっていた。むしろそれでごぼうの党のことを知ってもらえたらいいと。
この国をなんとか守りたいと仰っていますが、そこまでいうごぼうの党ってどんな政治団体なんでしょう。
ごぼうの党って?
ごぼうは漢字で書くと護防と書きます。
公式ホームページを見ていてわかることは、若者のための党だということ。
公約には大学生のスマホを無料化するとか、20代の若者の健康保険料を見直すなどあります。
Twitterで面白動画などを「ごぼうチャレンジ」のハッシュタグをつけて広めようとしたり、選挙演説では鬼滅の刃の登場人物を彷彿とさせる衣装や天狗の面など奇抜な恰好での活動をしてもいます。
選挙に興味のなかった若者世代を引き付けようとした努力には意義があったと思いますが、公式ホームページでは「笑顔がいちばん」「若者のための政党」という以上の政治的メッセージは読み取れません。
ごぼうの党は多くの芸能人が応援したことでも注目を浴びましたが、公式ホームページを見るような「笑顔が一番大切」というくらいの軽いタッチの応援でした。
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それが一転したイメージを持たれたのが、ABEMA「アベプラ 選挙特番」での時。
同党は多数の芸能人が応援投稿をしてきたが、この日は「日本はアメリカの言いなり」などの持論を展開。
その後、EXITの兼近大樹も「芸能人が沢山応援してくれていたんですけど、今まで話していたことをすべて理解して応援してくれていたのか…。そうじゃなかった場合、彼らに迷惑がかかる」と指摘。奥野氏が「迷惑がかかる、かからないの問題じゃない。迷惑っていうのは、日本がなくなっても迷惑ってこと?」
奥野氏は「奇をてらったことをしないと、国政制度に挑戦できないのかと。でも本当はね、若者の前で、街頭演説では表面的なトークだけで、同じトークを繰り返してきたけど、きょうは本音で…」と言ったところでCMに入った。
奥野氏は、これまでの選挙活動では「笑顔が一番大切」「若者のための党」という以上の重い政治的なポリシーは話してきませんでした。
これが一転「日本はアメリカの言いなり」という持論が飛び出し、一緒に参加していた参政党の神谷事務局長にほとんどしゃべる時間を与えない勢いでしゃべりつづけました。
周りから止められても構わず話し続け、自己中心的な印象です。
EXITの兼近さんが心配したのは「日本はアメリカの言いなり」という政治的メッセージを全くにおわせないまま、たくさんの芸能人が応援してきた事態に、応援していた人たちはその政治思考を知った上で応援してくれていたのか、もし違うのなら何か影響はないかということです。
奥野氏の発言でも、奇をてらう行動でしか現国政に対抗できないからそうしたまでで、本心は違う。もっと重い政治的メッセージを伝えたい、ということのようでした。
どうして選挙活動でもっと本音を出さなかったのでしょうね?
若者にはそんな話をしても聞く耳は持たないだろうから、若者ウケを狙ったやり口ばかりしていたというなら、若者は怒っていいですよ。
どうもごぼうの党の公式ホームページには書かれていないヘビーな政治的思考は、奥野氏本人が強く持っている様子ですね。
奥野氏のプロフィール
こちらのページによくまとめられています。
奥野氏は20代のころからたくさんの会社を起業してきた経営者です。
代表的な会社は、東洋ライフサービス株式会社。美容系の会社です。
曽祖父は野村茂久馬(もくま)氏と言って、「土佐の交通王」とも呼ばれる実業家。
高知城に銅像もある偉人のようです。ご本人も由緒ある家柄なのだとか。
本人の資産も1000億とも言われ、ホストクラブ1番で3200万円も使って豪遊したそうです。
奥野氏はまた、芸能人、政財界にも顔のきく実力者です。
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思想についてはよく「陰謀論者」と揶揄されたり、反ワクチン主義、反マスク主義なのを公表していますね。
ワクチンやマスクについては海外よりも日本の方が賛成派が多いので、目立つのでしょう。
護防という感じからしても国粋主義の香りがしますが、日本はアメリカの言いなりになっているとの主張からもそれが読み取れます。
ここではその是非を問うつもりはありませんが、ご自身の主張を強力に持たれているというのはわかります。
経営されている東洋ライフサービスにも、
企画立案し、愛のある製品を生み出し、食の安心と安全を訴え、政治の手が行き届かない不条理や、損得勘定や利益追求主義の行き過ぎた世の中に対して、本当に大切なものは何かを提起し、隔たりや境を作らずにお互いに助け合える社会の構築を世界規模で行うこと
あまりにも傷ついた地球環境の修復と改善を世界規模で行うこと
東洋ライフサービス株式会社 会社概要
とあり、奥野氏の思想が色濃く反映されています。
ごぼうの党のホームページにほとんどそれが読み取れないのは、不思議な感じがしますね。
まとめ
超RIZINで花束を投げ捨てた事件ですが、奥野氏がメイウェザー選手の金をめぐる発言に辟易していたというのが直接の理由のようです。
ただ、奥野氏が国粋主義的な思想を持っているとすれば、アメリカ人であるメイウェザー選手を格上のお客様としてあがめるようなRIZIN側の対応は彼にとっては好ましくなかったことでしょう。
また、メイウェザー選手は別名「Money(金の亡者)」とも呼ばれ、金儲けにシビアです。
格下の選手と戦って楽勝しても金が儲かるのに、なぜ、負ける可能性のある強い選手と戦わなければならないのかと発言してはばかりません。
現役の時にどちらかと言えばヒール(悪役)だったメイウェザー選手ですから、現役ではない今、別に金儲けに走ったところで、アメリカ的にいえばビジネスライクなだけですが、この辺は日本的美学とはずれるでしょう。
このあたりの温度差があったのではないかと推測します。
だからって、贈呈する花束を投げ捨てるのは褒められたもんじゃありませんけどね。
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今回も最後まで読んでくださってありがとうございました。感謝です!(春香拝)
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