パッションフリックス:イーロンマスクの妹が立ち上げたロマンス小説映像化配信サービス

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B級ニュース

パッションフリックスとは

 パッションフリックスとは、世界一の富豪、イーロン・マスク氏の妹、トスカ・マスク氏が立ち上げた、ロマンス小説の映像化配信サービスです。

 トスカ・マスク氏の立ち上げたロマンス小説映像化配信サービス、パッションフリックスは、ネットフリックスのロマンス小説版のようなものです。ロマンス小説といっても甘いロマンティックな話ばかりではなく、結構セクシーなものまで含まれています。月額6ドルの会員制で、コンテンツは「セクシー度の強さ」でランク付けされています。

 セクシー系ではありますが、男性向けによくあるモロAVという感じではなく、ベッドシーンはあるものの、女性がロマンスに浸れるストーリー性を大切にしています。全般的に女性向きと言えるでしょう。トスカ・マスク氏によると、腰から下の正面からの裸のシーンは禁止されており、「セクシーな視線や太ももをかすめる程度」の演出とのこと。

 トスカ・マスク氏は、

「ほとんどの場合、人々はロマンスを見下し、女性の欲望をメインテーマとすることに何か過激さを感じ、ロマンスが十分に知的であるとは考えない」

「私はそれは間違っていると思う。ロマンスとは、感情を正当化することだ。性的なものから恥ずかしさを取り除くものだ。ロマンスとは、感情を正当化することであり、セクシュアリティに対する恥辱を取り除くことであり、物語を高揚させることだ」

「私たちがすることは、被害者であるとか、女性が危険にさらされるとか、女性を家畜化するとかいうことではない。セカンドチャンスのロマンスでもシンデレラストーリーでも、結局のところ、つながり、コミュニケーションし、分かり合う2人だ」

と述べており、女性を卑下することなく、正攻法でセクシーなロマンスを表現することを大切にしています。彼女なりのロマンス哲学が垣間見えます。

ニッチジャンルならではの苦労

 パッションフリックスは2017年9月に開始され、現在では150か国で閲覧でき、9か国語の字幕が出るようになっています。しかし順風満帆な経営であるとは言えず、社員も6名のみ。コロナパンデミックにより、一時期は制作もストップしていたとのこと。

 ニッチなジャンルなので、大手のようにスポンサーも簡単にはつかず、役者も素人芝居でエンターテイメントとしてはレベルが低いとの酷評もありますが、ロマンスとセクシー感を堪能したい向きには関係ないのかもしれません。もともと原作となるロマンス小説をなぞっているだけで、アレンジを必要とするものではないのでしょう。

 トスカ・マスク氏は当初、ハリウッドでスパイシーなロマンステレビを作りたかったそうですが、買い手が見つからず、自ら配信ソリューションを作るしかなかったとのこと。彼女はバンクーバーのぶりディッシュコロンビア大学で映画を学んでおり、カナダの制作会社に勤めた後、ロサンゼルスで兄のイーロン・マスク氏のバックアップを受けて、映画『Puzzled』(2001年)の監督・脚本・制作を担当しました。

 その後テレビ映画の製作と監督をするようになりますが、最終的にはネットワーク部門の幹部と衝突し、挫折します。「力のある女性が自身のセクシュアリティを受け入れる物語」に興味を持ってもらえなかったとのことです。

 彼女のロマンス哲学を満足する映像を作るためには、パッションフリックスを立ち上げるしか道はなかったのでしょう。

まとめ

 トスカ・マスク氏は自身の双子の子どもの父親を知りません。匿名の精子提供者の精子を使った人工授精で妊娠したからです。その意味では通常の恋愛、結婚、妊娠というケースを経験していません。今時、シングルマザーも、匿名の精子提供者も、人工授精も珍しくはありませんが、彼女の独特のロマンス哲学は、このあたりからも醸成されたのかもしれません。

 ニッチジャンル、しかも女性がセクシー路線を女性目線で追うという、まさに男性AVに真っ向から挑戦するスタイルに、なかなか男性社会であるハリウッドやマスコミは食いついてはこないかもしれませんね。日本に比べて十分に女性が強いアメリカであってもなお、苦労している様子です。

 エンターテイメントとして成功するには、素人芝居からは脱却し、鑑賞するに耐える品質向上は避けられないと思いますが、彼女の挑戦は応援したいと思わせます。兄のイーロン・マスク氏に似て、自身の壮大な夢を追いかけ、あきらめない強さがある女性ですね。

 現在のコアなファンを大切にしながら、メジャーにのし上がっていく彼女を見たいものです。

 

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